家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 明莉の母が入院して、そろそろ一ヵ月だ。

 ほぼ当初の見込み通りの入院スケジュールになった形である。

 退院してからもリハビリに通う必要があるが、それでも明莉も一区切りつけて、安心できるだろう。

 巳影もそう思って安堵した。

 この一ヵ月、明莉は数日に一回は病院に通って、母の付き添いや世話をしていた。

 その様子はお見舞いに行った巳影も目にしたが、「とても助かるの」と明莉の母は嬉しそうだった。

 明莉の父は五十代であり、まだ仕事に就いていて、常に付き添うことはできないためだ。

 そんなわけで現在の明莉は、巳影との家のことをしつつ、母の看病をしている日々だ。

 でも前向きな明莉は、「再就職についてもそろそろ考えたいな」と言っていた。

 元々、なるべく早く新しい仕事を見付けたいと言っていたのだ。

 巳影も応援するつもりだった。

 辰巳と明莉は楽しげに会話をしていたが、そのうち話題は別のほうへ行った。

「式が今からとても楽しみなんだよ。日程が決まったらすぐに教えておくれ」

 辰巳からにこにことそう言われて、巳影はくすぐったくなる。

 辰巳と向き合う明莉も、はにかんだ顔になった。