家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 巳影が都合を聞いたとき、『今日なら大丈夫だよ』と返信してくれた明莉は、しっかりお茶を用意していた。

 辰巳がリビングに入ってすぐに出されたのは、アイスティーだ。

「暑い中では有難い」と、辰巳もすぐに味わってくれた。

 巳影と明莉は、ソファの向かいのスツールにそれぞれ座っていた。

 中年男性の使用人が、入り口近くに静かに立って控えている。

 夕食前なのであまり長々とは過ごせないが、三人は少しだけ話をした。

「明莉さんのお母様のお加減はいかがかな。だいぶ回復されただろうか?」

 お茶を口にしながら、辰巳は明莉の母のことを気遣ってくれる。

 彼も明莉の母が入院しているのは把握しており、花まで贈ってくれたくらいだ。

「はい、回復も順調です。あと一週間ほどで、一旦退院できる見込みと言われています」

 明莉も嬉しそうに答えた。

 辰巳からの言葉や行動を好意的に受け取っているのだとはっきりわかって、巳影まで嬉しい気持ちになる。