家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 タブレット端末で受信するメッセージ通知は秘書のアドレスと共有されるから、高城のほうが先に通知に気付いたようだ。

 仕事のできる彼女らしいことである。

「お先に失礼します!」

「お疲れ様でした!」

 巳影がノートなどをまとめ終える頃には、部下たちが口々に挨拶して、退室するところだった。

 張り詰めていたミーティングが終わった開放感が、その背中から伝わってくる。

「お疲れ様」

 巳影も労いの言葉を返した。

 やがて退室の支度を終えて、ようやくタブレット端末のメッセージアプリを開いた。

 そこに書いてあった内容を、何気なく読む。

『お疲れ様。九月からの役員構成についてのまとめを読んだ。明日以降に打ち合わせよう。都合の良い時間を教えてくれ』

 仕事の話が書き連ねられている。

 夏が終わる頃、社内の役員の人事異動をする予定だった。

 その構成について、候補をまとめたので、祖父に見てもらったのだ。

 祖父はどうやらそれに対して、見解とアドバイスをくれるようだ。

 そのあともいくつか仕事の件があったが、最後に別のことも書いてあった。

『別件だが、良ければ今日か明日に、巳影の家へ寄っても良いか? 果物を渡したくてな』

 私的な内容だった。