家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(side 巳影)


 互いの気持ちが一致した。

 明莉の両親と、巳影の祖父母からも受け入れられた。

 もうなにもためらう要素がなくなった二人は、七月の半ばに婚姻届を提出した。

「これで名実ともに夫婦だな」

 平日の午後、二人で区役所を訪れて、書類は無事に受理された。

 建物を出てから、巳影は明莉に向かって噛みしめるように言った。

 大切な日だから、二人で来られて良かったと思う。

 今日は半休を取ったのだ。

 午前中に仕事をしてきたので、巳影はグレーのスーツ姿だ。

 隣を歩く、明るい黄色のサマーワンピースを着た明莉も、同じような声で頷いてくれる。

「うん。改めて、これからもよろしくね」

 見つめ合った二人は、同時に笑みになった。

 区役所の駐車場へ向かう間に、自然と手が繋がれていたくらいだ。