男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。


体育館の天井は高く、磨かれた床は光を跳ね返していた。


私立白鷺学園――

名門と呼ばれるこの学校の入学式は、空気まで整っている気がした。



壇上に並ぶ教師たち。

きちんと並んだ椅子。

無駄のない静けさ。


こんな場所に自分が立つ日が来るなんて、少し前の私は想像すらしていなかった。



……いや、立ちたくて来たわけじゃない。

私は、逃げてきただけだ。


手のひらの汗をスラックスで拭い、深く息を吸う。

首元のネクタイが少し苦しい。けれど、これ以上緩めたら不自然になる。