王子様は好きって伝えたい


翌朝。

学校に着くと、昇降口で寄りかかって目黒先輩がいる。


「おはよう架乃ちゃん」

「おはようございます」


チラッと先輩の方を見て、そう返した。


「ちょちょちょ、塩すぎん!?」


私が靴を履き替えていると追いかけてくる。


「目黒先輩、おはようって、語尾にハート付きで!」

「そういう柄じゃないですし…」

「まあそうだよね」


残念がる目黒先輩。


「まっすぐ教室行く?」

「はい」

「そっか」


私の手を繋ぎ、私の教室まで送る。

痛いほどに視線がこちらに集まる。


「じゃあ、昼休みにまた」


会釈だけした。

私は…お姫様なんかじゃない。

目黒先輩みたいな王子様に、エスコートされるような女じゃない。


「目黒先輩と杉本さんかー。美形すぎてお似合い」

「それなー」


そんな声が遠くから聞こえた。

は…そんなわけ…。


目黒先輩というアイドル王子様を抜け駆けした私は、重罪を犯したような気持ちで授業を受けていた。


釣り合ってないよ。

皆のアイドル王子様、あんたなんかが奪うんじゃないよ。

そんな声が聞こえる気がしてならなかった。