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レオくんとばいばいしてくんから、小一時間。
かなり時間が経ったけれど、レオくんが来る気配はない。
特典会の終了時間も近いし、確かこの時間帯にチェキ券の購入はできなかったはずだ。
今日…もう、来てくれないのかな。
そうだよね…レオくん、いっつもすぐ帰っちゃうし。
今日だって、もしかしたらわたしが辛気臭い顔してたから慰めるために言っただけの言葉だったのかも。
レオくんにそんな嘘までつかせちゃうなんて…わたし、最低な女だ。
それでもわたしの列はまだ絶えておらず、気が遠くなってしまった。
レオくんに会いたい…
そんな事を願ったって、会えるわけないのに。
…せめて今は、目の前のファンの子に精一杯の笑顔を向けよう。
うん、そうだよ。こんな事でいちいち落ち込んでたらキリがないもんね。
前を向いた、その時だった。
「ごめんね、遅くなって。」
「………レオくん!」
自分の目がおかしくなったのか、はたまた本当にレオくんが来てくれたのか。
「ユキのチェキ券購入列、本当すごい人で…」
「レオくん、会いたかったっ…!」
思わず座っていた椅子から立ち上がり、レオくんの手をぎゅっと握ってしまった。
もう絶対に離したくない、その手を。
