◇◇◇
季節は春。
穏やかな昼下がり、窓から差し込む光が暖かい。
保健室の窓からは散りかけの桜が枝を覗かせ、毎日少しずつ変化するそれを眺めているだけでも楽しい。
保健委員会は仕事が多くてやりたがる人は少ないが、案外こういうところで徳がある。
みんな知らないのが勿体無い。
私は、昼休みにこうして委員会の雑用をしながら保健室を占領するのが好きだ。
怪我人が来た時のためにガーゼをチョキチョキ切っていると、保健室の扉が開いた。
怪我人かな。
「はい。どうかしましたかーーって…」
振り返り、顔を覗かせた人物を見た私は、硬直した。
「お久しぶりです、椿さん」
私が中学を卒業して一年。
全く音沙汰がなかった後輩は、懐かしい笑顔で私のもとに現れた。
春風に揺れる、柔らかくサラサラな黒髪。相変わらず、いや、魅力が増した端正な顔。こちらをまっすぐ見つめる瞳。ずいぶん伸びた背。
前は同じくらいだったのに、今は明らかに私が見上げる形になっている。
体つきもずいぶん男らしくなった。
「杏耶くんーーー。」
久しぶり、背が伸びたね、会いたかったよ、ここを受験したんだね。
言いたいことが溢れて、まとまらなくて。
しかし懐かしい人との再会による嬉しさは、彼の腕を見た瞬間吹き飛んだ。
季節は春。
穏やかな昼下がり、窓から差し込む光が暖かい。
保健室の窓からは散りかけの桜が枝を覗かせ、毎日少しずつ変化するそれを眺めているだけでも楽しい。
保健委員会は仕事が多くてやりたがる人は少ないが、案外こういうところで徳がある。
みんな知らないのが勿体無い。
私は、昼休みにこうして委員会の雑用をしながら保健室を占領するのが好きだ。
怪我人が来た時のためにガーゼをチョキチョキ切っていると、保健室の扉が開いた。
怪我人かな。
「はい。どうかしましたかーーって…」
振り返り、顔を覗かせた人物を見た私は、硬直した。
「お久しぶりです、椿さん」
私が中学を卒業して一年。
全く音沙汰がなかった後輩は、懐かしい笑顔で私のもとに現れた。
春風に揺れる、柔らかくサラサラな黒髪。相変わらず、いや、魅力が増した端正な顔。こちらをまっすぐ見つめる瞳。ずいぶん伸びた背。
前は同じくらいだったのに、今は明らかに私が見上げる形になっている。
体つきもずいぶん男らしくなった。
「杏耶くんーーー。」
久しぶり、背が伸びたね、会いたかったよ、ここを受験したんだね。
言いたいことが溢れて、まとまらなくて。
しかし懐かしい人との再会による嬉しさは、彼の腕を見た瞬間吹き飛んだ。

