天使と悪魔の恋煩い

誰しも、何事にしろ、何かを得るには代償が付き物らしい。

何かを成し得るために“時間”を捧げ、選択をするたびに、得るかもしれなかったいくつかの“可能性”を捨てる。


代償は様々な形があって、大きなものを得るときは特に大きな代償を支払わなければならない。

でもみんなできるだけ手放したくない。

だから、できるだけ大きな利益が出て且つ最小限の損害で済ませられるようにする。

そして時には自分自身でそれを選ぶことができない。

得るものも、代償も。



僕は生まれつき、“それ”があった。

忌々しい“それ“は、いくら祈れど消えず、荒れ狂った波のように瞬く間に周囲を飲み込まんとし、僕から全てを奪い、嗤った。


こんなのいらない。望んでない。なんで、どうして。

そんなこと言わないでよ、とそれが嗤う。

ーーほら見なよ。これ全部、君が望んだことでしょう?

拒絶し、憎んでいたはずの“それ”はもはや僕そのものだった。