――答えは、もう出てる。
蓮の前に立つ。
心臓が、うるさい。
でも。
逃げない。
「……沙奈」
名前を呼ばれる。
その声が。
少しだけ、震えていた。
「……はい」
ちゃんと、見る。
前みたいに、逸らさない。
「……俺」
一瞬、言葉を探す。
「変わったつもりだけど」
「……」
「まだ全部じゃねぇ」
正直な言葉。
「だから」
「怖いのも、わかる」
その一言で。
胸が、揺れる。
「でも」
一歩、近づく。
「逃げねぇから」
「……」
「お前からも」
「自分からも」
まっすぐに言う。
「……だから」
少しだけ、間があって。
「もう一回、言う」
空気が、静まる。
「好きだ」
シンプルで。
でも。
一番重い言葉。
「……っ」
胸が、いっぱいになる。
「……私も」
ちゃんと、言う。
「好きです」
もう、迷わない。
その瞬間。
空気が、ふっと緩む。
「……はぁ」
後ろから、ため息。
振り向くと。
湊。
「やっぱりね」
少しだけ、笑う。
「……悪い」
蓮が言う。
「別に」
肩をすくめる。
「最初からわかってたし」
でも。
その目は、少しだけ寂しそうだった。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「ちゃんと選んだね」
「……はい」
「それならいい」
一歩、下がる。
「後悔しても、知らないけど」
軽く笑う。
「でも」
一瞬だけ、真面目な顔になる。
「壊れたら」
「そのときは、俺が拾う」
「……っ」
その言葉が。
少しだけ、優しかった。
「じゃあね」
背を向ける。
もう振り返らない。
――それが。
湊なりの、終わり方だった。
静かになる屋上。
「……行くか」
蓮が言う。
「……はい」
並んで歩き出す。
少しだけ、近い距離。
「なあ」
「……はい」
「まだ怖い?」
一瞬、考える。
そして。
「……はい」
正直に言う。
「でも」
続ける。
「前より、怖くないです」
少しだけ、笑う。
「……そっか」
蓮も、少しだけ笑う。
「じゃあ」
手が、差し出される。
「これも、いける?」
一瞬、迷って。
でも。
そっと、重ねる。
「……はい」
指が、絡む。
温かい。
安心する。
でも。
それだけじゃない。
ちゃんと、ドキドキする。
――それが。
私が選んだものだった。
怖くてもいい。
不安でもいい。
それでも。
この人と、進みたい。
そう思えたから。
――“シロ”だった私が。
“朝比奈沙奈”として。
誰かを選んだ日だった。
蓮の前に立つ。
心臓が、うるさい。
でも。
逃げない。
「……沙奈」
名前を呼ばれる。
その声が。
少しだけ、震えていた。
「……はい」
ちゃんと、見る。
前みたいに、逸らさない。
「……俺」
一瞬、言葉を探す。
「変わったつもりだけど」
「……」
「まだ全部じゃねぇ」
正直な言葉。
「だから」
「怖いのも、わかる」
その一言で。
胸が、揺れる。
「でも」
一歩、近づく。
「逃げねぇから」
「……」
「お前からも」
「自分からも」
まっすぐに言う。
「……だから」
少しだけ、間があって。
「もう一回、言う」
空気が、静まる。
「好きだ」
シンプルで。
でも。
一番重い言葉。
「……っ」
胸が、いっぱいになる。
「……私も」
ちゃんと、言う。
「好きです」
もう、迷わない。
その瞬間。
空気が、ふっと緩む。
「……はぁ」
後ろから、ため息。
振り向くと。
湊。
「やっぱりね」
少しだけ、笑う。
「……悪い」
蓮が言う。
「別に」
肩をすくめる。
「最初からわかってたし」
でも。
その目は、少しだけ寂しそうだった。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「ちゃんと選んだね」
「……はい」
「それならいい」
一歩、下がる。
「後悔しても、知らないけど」
軽く笑う。
「でも」
一瞬だけ、真面目な顔になる。
「壊れたら」
「そのときは、俺が拾う」
「……っ」
その言葉が。
少しだけ、優しかった。
「じゃあね」
背を向ける。
もう振り返らない。
――それが。
湊なりの、終わり方だった。
静かになる屋上。
「……行くか」
蓮が言う。
「……はい」
並んで歩き出す。
少しだけ、近い距離。
「なあ」
「……はい」
「まだ怖い?」
一瞬、考える。
そして。
「……はい」
正直に言う。
「でも」
続ける。
「前より、怖くないです」
少しだけ、笑う。
「……そっか」
蓮も、少しだけ笑う。
「じゃあ」
手が、差し出される。
「これも、いける?」
一瞬、迷って。
でも。
そっと、重ねる。
「……はい」
指が、絡む。
温かい。
安心する。
でも。
それだけじゃない。
ちゃんと、ドキドキする。
――それが。
私が選んだものだった。
怖くてもいい。
不安でもいい。
それでも。
この人と、進みたい。
そう思えたから。
――“シロ”だった私が。
“朝比奈沙奈”として。
誰かを選んだ日だった。



