――壊れる。
その言葉が、ずっと頭から離れない。
朝。
教室に入る。
視線が集まる。
でも。
いつもみたいに、気にならない。
それよりも。
もっと、気になるものがある。
――神崎くん。
教室の後ろ。
いつもの場所。
でも。
目が合う前に、逸らした。
「……」
近づけない。
近づいたら。
信じてしまうから。
もし。
それが壊れたら。
きっと、前よりもっと苦しくなる。
――だから。
距離を取る。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
でも。
「……」
聞こえないふりをする。
「おい」
一歩、近づく音。
「なんで無視すんの」
振り向けない。
「……別に」
「別にじゃねぇだろ」
声が、少しだけ強くなる。
「……関わらないでください」
やっと、言う。
その瞬間。
空気が止まる。
「……は?」
「……」
「何それ」
信じられない、という顔。
「昨日まで普通だったじゃん」
「……無理です」
小さく言う。
「……何が」
答えられない。
でも。
「……怖いから」
それだけ。
「……俺が?」
「……はい」
その一言で。
蓮の表情が、変わる。
「……そっか」
小さく、呟く。
「……わかった」
それだけ言って。
それ以上、何も言わなかった。
――その距離が。
思ったよりも、遠く感じた。
放課後。
ひとりで帰ろうとすると。
「沙奈」
また、呼ばれる。
振り向くと。
湊。
「今日さ」
「……」
「送るよ」
「大丈夫です」
「遠慮しなくていい」
自然に、隣に並ぶ。
「……」
拒否できない。
「蓮と何かあった?」
「……別に」
「嘘」
すぐに見抜かれる。
「顔に出てる」
「……」
「怖いんでしょ」
その一言で。
足が止まる。
「……」
「大丈夫」
優しく言う。
「俺は壊さないから」
その言葉が。
すっと、心に入る。
「……」
安心する。
でも。
同時に。
違和感もあった。
「蓮はさ」
続ける。
「自分でもわかってないだけで」
「また戻るよ」
「……」
「そういう人だから」
静かに、言い切る。
「でも俺は違う」
少しだけ、笑う。
「最初から、壊さない」
その言葉に。
心が、揺れる。
――どっちが正しいのか。
わからない。
ただ。
ひとつだけ、確かなのは。
もう。
“どっちも関係ない”とは言えないってことだった。
――選ばないといけない。
そんな気がしていた。
その言葉が、ずっと頭から離れない。
朝。
教室に入る。
視線が集まる。
でも。
いつもみたいに、気にならない。
それよりも。
もっと、気になるものがある。
――神崎くん。
教室の後ろ。
いつもの場所。
でも。
目が合う前に、逸らした。
「……」
近づけない。
近づいたら。
信じてしまうから。
もし。
それが壊れたら。
きっと、前よりもっと苦しくなる。
――だから。
距離を取る。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
でも。
「……」
聞こえないふりをする。
「おい」
一歩、近づく音。
「なんで無視すんの」
振り向けない。
「……別に」
「別にじゃねぇだろ」
声が、少しだけ強くなる。
「……関わらないでください」
やっと、言う。
その瞬間。
空気が止まる。
「……は?」
「……」
「何それ」
信じられない、という顔。
「昨日まで普通だったじゃん」
「……無理です」
小さく言う。
「……何が」
答えられない。
でも。
「……怖いから」
それだけ。
「……俺が?」
「……はい」
その一言で。
蓮の表情が、変わる。
「……そっか」
小さく、呟く。
「……わかった」
それだけ言って。
それ以上、何も言わなかった。
――その距離が。
思ったよりも、遠く感じた。
放課後。
ひとりで帰ろうとすると。
「沙奈」
また、呼ばれる。
振り向くと。
湊。
「今日さ」
「……」
「送るよ」
「大丈夫です」
「遠慮しなくていい」
自然に、隣に並ぶ。
「……」
拒否できない。
「蓮と何かあった?」
「……別に」
「嘘」
すぐに見抜かれる。
「顔に出てる」
「……」
「怖いんでしょ」
その一言で。
足が止まる。
「……」
「大丈夫」
優しく言う。
「俺は壊さないから」
その言葉が。
すっと、心に入る。
「……」
安心する。
でも。
同時に。
違和感もあった。
「蓮はさ」
続ける。
「自分でもわかってないだけで」
「また戻るよ」
「……」
「そういう人だから」
静かに、言い切る。
「でも俺は違う」
少しだけ、笑う。
「最初から、壊さない」
その言葉に。
心が、揺れる。
――どっちが正しいのか。
わからない。
ただ。
ひとつだけ、確かなのは。
もう。
“どっちも関係ない”とは言えないってことだった。
――選ばないといけない。
そんな気がしていた。



