――なんで、こんなに。
落ち着かないんだろう。
放課後。
教室に残って、ひとりでノートを開いているのに。
全然、頭に入ってこない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
びくっとする。
この声は。
「……湊」
顔を上げると。
いつもの、優しそうな笑顔。
「まだいたんだ」
「……はい」
「ちょうどいい」
一歩、近づく。
「話そ」
「……何を」
「蓮のこと」
心臓が、跳ねる。
「……別に」
「興味あるでしょ」
逃げ場がない。
「昔の蓮さ」
机に軽く寄りかかる。
「今よりもっとひどかったよ」
「……」
「誰でもよかったし」
「泣かせても気にしなかった」
淡々と語る。
「俺も一緒だったけど」
ふっと笑う。
「でも、あいつだけ変わった」
「……」
「つまんないよね」
その一言で。
空気が変わる。
「なんで」
思わず聞く。
「……何がですか」
「なんで変わるのが嫌なの」
一瞬、沈黙。
そして。
「壊れるから」
「……え」
「中途半端に変わるやつってさ」
目が、少しだけ冷たくなる。
「結局、全部壊れる」
「信じた分だけ、ね」
その言葉に。
背筋が、冷える。
「だから」
一歩、近づく。
「最初から壊した方がいい」
「……っ」
「その方が、楽でしょ?」
逃げたい。
でも。
足が動かない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「試してあげる」
手が、伸びる。
顎に触れられそうになった瞬間――
「触んな」
強い声。
振り向くと。
神崎――蓮。
「……来たんだ」
湊が、少し笑う。
「お前さ」
蓮が、一歩前に出る。
「何してんの」
「別に?」
「壊そうとしてただけ」
あっさり言う。
「……は?」
空気が、一気に張り詰める。
「だってさ」
「お前が変わるとか、無理じゃん」
「……」
「どうせ元に戻る」
「そのとき、この子どうなると思う?」
蓮の表情が、変わる。
「……黙れ」
「現実見ろよ」
「お前はそういう人間だろ」
「……っ」
拳が、握られる。
「だから俺が」
湊が、沙奈を見る。
「壊す前に壊してあげる」
「やめろ!!」
蓮の声が、響く。
一瞬。
静寂。
「……本気なんだ」
湊が、少しだけ目を細める。
「珍しい」
「でもさ」
にこっと笑う。
「それ、いつまで続くかな」
そのまま、背を向ける。
「楽しみにしてる」
去っていく。
静かになる教室。
「……大丈夫か」
蓮の声。
「……はい」
でも。
心は、揺れていた。
――壊れる。
その言葉が。
消えなかった。
落ち着かないんだろう。
放課後。
教室に残って、ひとりでノートを開いているのに。
全然、頭に入ってこない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
びくっとする。
この声は。
「……湊」
顔を上げると。
いつもの、優しそうな笑顔。
「まだいたんだ」
「……はい」
「ちょうどいい」
一歩、近づく。
「話そ」
「……何を」
「蓮のこと」
心臓が、跳ねる。
「……別に」
「興味あるでしょ」
逃げ場がない。
「昔の蓮さ」
机に軽く寄りかかる。
「今よりもっとひどかったよ」
「……」
「誰でもよかったし」
「泣かせても気にしなかった」
淡々と語る。
「俺も一緒だったけど」
ふっと笑う。
「でも、あいつだけ変わった」
「……」
「つまんないよね」
その一言で。
空気が変わる。
「なんで」
思わず聞く。
「……何がですか」
「なんで変わるのが嫌なの」
一瞬、沈黙。
そして。
「壊れるから」
「……え」
「中途半端に変わるやつってさ」
目が、少しだけ冷たくなる。
「結局、全部壊れる」
「信じた分だけ、ね」
その言葉に。
背筋が、冷える。
「だから」
一歩、近づく。
「最初から壊した方がいい」
「……っ」
「その方が、楽でしょ?」
逃げたい。
でも。
足が動かない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「試してあげる」
手が、伸びる。
顎に触れられそうになった瞬間――
「触んな」
強い声。
振り向くと。
神崎――蓮。
「……来たんだ」
湊が、少し笑う。
「お前さ」
蓮が、一歩前に出る。
「何してんの」
「別に?」
「壊そうとしてただけ」
あっさり言う。
「……は?」
空気が、一気に張り詰める。
「だってさ」
「お前が変わるとか、無理じゃん」
「……」
「どうせ元に戻る」
「そのとき、この子どうなると思う?」
蓮の表情が、変わる。
「……黙れ」
「現実見ろよ」
「お前はそういう人間だろ」
「……っ」
拳が、握られる。
「だから俺が」
湊が、沙奈を見る。
「壊す前に壊してあげる」
「やめろ!!」
蓮の声が、響く。
一瞬。
静寂。
「……本気なんだ」
湊が、少しだけ目を細める。
「珍しい」
「でもさ」
にこっと笑う。
「それ、いつまで続くかな」
そのまま、背を向ける。
「楽しみにしてる」
去っていく。
静かになる教室。
「……大丈夫か」
蓮の声。
「……はい」
でも。
心は、揺れていた。
――壊れる。
その言葉が。
消えなかった。



