「買い出し、二人で行ってきてくれる?」
文化祭準備中。
クラスメイトにそう言われた瞬間。
「……え」
固まる。
「神崎くんとシロ、ちょうどいいし!」
断れない空気。
ちらっと横を見ると。
「行くぞ」
もう決まっていた。
「……はい」
小さく頷くしかない。
――校門を出る。
並んで歩く。
ふたりきり。
「……」
気まずい。
何を話せばいいかわからない。
「そんな緊張すんなよ」
隣から声。
「……してません」
「してるだろ」
少しだけ笑う。
「顔、固い」
「……」
何も言えない。
「ほら」
ふっと、歩幅を合わせられる。
「こっち」
自然に道を選ぶ。
「……慣れてますね」
思わず出た言葉。
「何が」
「こういうの」
一瞬、間があく。
「……まあな」
否定しない。
その一言で。
胸が、少しだけ痛む。
「でも」
続ける。
「今は違う」
「……え」
「お前だから」
さらっと言う。
でも。
心臓が、跳ねる。
「……意味がわかりません」
「いい」
それ以上は言わない。
店に入る。
材料を選ぶ。
「これでいいか?」
「……はい」
「じゃあ持て」
「え」
「軽い方な」
袋を渡される。
さりげない気遣い。
「……ありがとうございます」
「だから敬語やめろ」
「……」
また、少し笑う。
店を出る。
夕方の空。
少しだけ、オレンジ色。
「……綺麗」
思わず呟く。
「だな」
隣で、同じ方向を見る。
その距離が。
前より、近い。
「シロ」
「……はい」
「今日、楽しい?」
突然の質問。
「……」
考える。
楽しいか。
わからない。
でも。
「……嫌じゃないです」
本音だった。
「そっか」
それだけで。
少しだけ、嬉しそうに見えた。
――この時間が。
ずっと続けばいいのに。
そう思ってしまったことに。
気づかないふりをした。
文化祭準備中。
クラスメイトにそう言われた瞬間。
「……え」
固まる。
「神崎くんとシロ、ちょうどいいし!」
断れない空気。
ちらっと横を見ると。
「行くぞ」
もう決まっていた。
「……はい」
小さく頷くしかない。
――校門を出る。
並んで歩く。
ふたりきり。
「……」
気まずい。
何を話せばいいかわからない。
「そんな緊張すんなよ」
隣から声。
「……してません」
「してるだろ」
少しだけ笑う。
「顔、固い」
「……」
何も言えない。
「ほら」
ふっと、歩幅を合わせられる。
「こっち」
自然に道を選ぶ。
「……慣れてますね」
思わず出た言葉。
「何が」
「こういうの」
一瞬、間があく。
「……まあな」
否定しない。
その一言で。
胸が、少しだけ痛む。
「でも」
続ける。
「今は違う」
「……え」
「お前だから」
さらっと言う。
でも。
心臓が、跳ねる。
「……意味がわかりません」
「いい」
それ以上は言わない。
店に入る。
材料を選ぶ。
「これでいいか?」
「……はい」
「じゃあ持て」
「え」
「軽い方な」
袋を渡される。
さりげない気遣い。
「……ありがとうございます」
「だから敬語やめろ」
「……」
また、少し笑う。
店を出る。
夕方の空。
少しだけ、オレンジ色。
「……綺麗」
思わず呟く。
「だな」
隣で、同じ方向を見る。
その距離が。
前より、近い。
「シロ」
「……はい」
「今日、楽しい?」
突然の質問。
「……」
考える。
楽しいか。
わからない。
でも。
「……嫌じゃないです」
本音だった。
「そっか」
それだけで。
少しだけ、嬉しそうに見えた。
――この時間が。
ずっと続けばいいのに。
そう思ってしまったことに。
気づかないふりをした。



