光王子と月夜のシンデレラ

ぐっ……とドレスに似合わずこぶしを握り締める。

試験は個人戦だけれど、協力してはいけないとは書いていない。
私だってバレるだろうけれど、そんなこと関係ない。
今宮くんが合格出来ればそれでいい。

「あ、あの……視線そのまま、ご飯食べながら聞いてください」
「……?」
「このナポリタンは……味が違います。偽物です」
「……」
「独り言です。この情報は自由にし……」
「一緒に行こう」

急に腕を引っ張られて行きついた先は、会場の隅で談笑する校長先生と田中先生の元だった。
ここに来たということは……今宮くんも……

「2人で一緒に来たということは……」
「ただ単にそこで会っただけですよ」
「はっ、そういうことにしてやろうか。さて、答え合わせ……ってことでいいのかな」
「はい」

「1つ目は……この会場に流れている音楽です。これはウィーンでのプレミアム公演の音源で、音源自体も数が少なく入手なものです。本物は16節でフルートが1音ですが音を外すんです。その事実を知らないAIが完璧な音源で作ったのでしょう」
「ほう……」

そ、そうだったんだ……私はもちろん気づいていなかったから、3つ見つけよっていう試験をクリアしていないよね。
まあ、正体がバレている時点でクリアしていないから関係ないか。

今宮くんに肘でコツンとされる。2つ目は私が答えてってことのようだ。

「2つ目は……あそこで提供しているナポリタンです。喫茶ナポリは季節によって同じメニューでも味を変えるんです。簡単に言うと、夏は薄めで冬は濃いめというように。今は冬ですが、これは夏の味付けです。喫茶ナポリのマスターによる、人間らしい機転なんです」
「ふむ……最後は……」

「最後は……田中先生です」
「……どういうことだ?」
「先生……いや……しいちゃん。どうしてここにいるの?」