光王子と月夜のシンデレラ

文化祭の準備が始まって1週間、私はモヤモヤしていた。

「悩んでるね、未桜……」
「うーん……カフェはいいんだけれど……これでいいのかなって」

放課後、私は新菜ちゃんと今宮くん、成沢くん、松永くんの臨海学校のメンバーで、学校近くのファストフード店に来ている。
悩みの種は、文化祭のクラスの出し物の内容だ。

「極力みんなの特技を生かしたいのに、生かしきれてないから……」
「まあ、全員の特技を生かすのは無理だし、十分だと思うよ」
「そうそう、スポーツ系の奴らはそもそも体育祭が主戦場で、今回はサポートするって言ってるしな」

新菜ちゃんと成沢くんが優しくフォローしてくれる。
確かに、スポーツ系のみんなは難しいかもしれないけれど、せめて文化系のみんなはできる限り……
この1週間、いい案はないかとずっと考えているのだけれど、なかなか思いつかない。


――3D没入体験!その場にいるような体験ができるゲームが新発売!――

店内のサイネージに新発売のゲームのコマーシャルが流れた。
没入……その場にいるような……

「そっか、空想世界のカフェとかどうですかね?」
「空想世界?」
「例えばですけど、歴史上の世界観とか、恐竜の世界観とか、宇宙の世界観とか……そんな空想世界を感じられるカフェにできないかなって」
「今のはあくまで例ですけど……店内をいくつかのスぺースにわければ、みんなの得意分野の分だけテーマカフェができないかなって……せっかくいい場所取ってくれたから、スペース広いですし」
「いいと思う!けどどうやってやる?VRゴーグル付けながら飲食するの?」
「あ……そうですよね」

うーん、いい案かなって思ったんだけどな……

「その空間に映し出せばいいんでしょ?できるよ、プロジェクションマッピングみたいな感じ」
「え……」

普段あまり話さない松永くんが、珍しく口を開いた。

「壁に映し出せばいいし、映像とか機器の調整はやるよ」
「松永が?」
「うん、俺の特技」
「えっ……」
「電子回路の構築とか電子機器の扱いが得意って感じ」
「パソコンとかってこと?」
「パソコンも……まぁハッキングとかも正直できるけど。でも俺は電子機器のものづくりとか映像づくりの方が好き」

まさかの松永くんの特技にみんな驚いてポカンとしている。

「肝試しの時、俺だけ役に立たなかったから。今回は少しでも役に立てたらって」
「そんなこと全く気にしなくていいのに」

何ならコテージで先生を不審者扱いして、腕をとってしまった私の方がマズい気がする。

「うん、でも……だからこそ佐倉さんがみんなの特技を生かしたいって悩んでくれてるのは嬉しかった」
「そんな……こちらこそありがとうございます」
「じゃあ、その方向で詰めていってみようか」

そのまま今宮くんが上手に取りまとめてくれて、何とか方向性が見えてきた。
今までの名残で、1人で何とかしなきゃって空回りそうだったけれど、みんなのおかげで前進しそう。

仲間っていいな。頼れるっていいな。
その後は日が沈むまで、私たちは文化祭の話合いを進めた。