光王子と月夜のシンデレラ

そう言って私を引っ張りながら、気づけば2人で波打ち際まで来た。
いいのかな……と思いながら今宮くんの後を追うように歩く。

「……もう、体調は平気なの?」
「だからすこぶる元気で……」
「酔ってたでしょ、飛行機」
「あ……」

確かに飛行機で酔ってしまい、ホテルまで来るバスでもそれを引きずって、ずっと気分が悪かったんだった。
着いてからは回復していて、すっかり忘れていたくらいだけれど。

そっか……心配してくれてたんだ……
それなのに、さっきあんな態度取っちゃって、申し訳なかったな。

「ご、ごめ……」
「悪かったよ、勝手に。まだ顔色悪かったからって、海で遊ぶ機会奪っちゃって」
「そんな!むしろ……心配してくれて、ありがとう」


どこまで行くのだろう。もうホテルの裏側近くまで来ている。
そう思っていると、目の前に船が泊まる用なのか、小さな桟橋が現れた。

その桟橋に、砂浜からは少し高さのある段差を使って今宮くんが上った。
今宮くんは桟橋の上から、こちらに向かって手を差し出してくれている。

「あ、ありがとう……」

手を引っ張ってもらって、私も桟橋へ上がり、先端の方へ歩く。

「わあ……」

水平線に沈みかけている夕日が目の前に広がった。
オレンジ色が照らした水面が、キラキラと輝いている。
空は夕日の周りのオレンジ色に対して、夕暮れの紫色や雲の白色の部分もあって幻想的。

あ……

しばらく眺めていてようやく気が付いた。さっきから手を繋いだままだった。
意識したとたん、繋いだ方の手だけが熱い。

けれど、離すタイミングがわからなくて……

結局夕日が沈むまで、繋いだままだった。