光王子と月夜のシンデレラ

「そうだね、多分倒せたかも。けれど……目的というか目標のためにあまりしたくない」
「目標……?」
「……俺は、卒業後は鑑定士になりたいって思ってる」
「鑑定士……ってあの、うちらのこのクエストの報告を受けて、本格的に偽物か調査する国の機関の人……」
「そう、それ」
「あれ……鑑定士って確か、特待生だった人からスカウトされることが多いんですよね?ますます特待生目指す方が……でもしたくない?どういう……」

混乱しているようで、1人で百面相をしている。
ふっ……結構表情豊かだな。いつもうつむいた姿ばかりだから知らなかった。

「そう、特待生は目指した方がいい」
「なら何で……」
「けど……昨今は鑑定士以上に、この学校と同様で佐倉さんのような警備や潜入部隊が不足しているらしい。だから闘えるって思われると、この潜入部隊として重宝されて、鑑定はできない可能性もあるみたい」
「だから、強さは隠したいと……」
「うん。ただ一昨日や昨日みたいなこともあるし、ずっとこれは無理があるか……とも思ってる」
「クエストを受けられなくなるかもしれない。それが、特待生を固辞している理由ですか……」

……ごめん、ウソをついた。
だから俺は特待生を目指してはいけない。目指すような人間じゃない。

ずっとそう思ってきたのに、佐倉さんからは「今宮くんの言っていることもわかりますけど、それでいいのかな……」なんてブツブツ言っている声が聞こえる。
俺のためにそんな真剣に考えなくていいのに。

「あれ、待って……!」

少しどんよりとした空気で沈黙が続いた中、佐倉さんは明るい顔で、ひらめいたように顔を上げた。

「別にクエストを受けちゃいけないわけではないですよね。ただ、その中で闘えることを見せちゃダメなだけですよね」
「まあ……」
「それなら……」

「わ、私が守ります……!」
「は……?」
「私が今宮くんの警備クエストを一緒に受けます!今宮くんを守ります!」
「いや……」
「そ、その才能と知識……絶対に鑑定士になった方がいいです!クエストの実績も積んで、特待生を目指してください!」

身を乗り出す勢いに気圧されそうで、本気なんだろうなと思う。
いつもオドオドして挙動不審なのに……何でそんなに人のために動けるんだよ。

「俺は……守ってもらうだけは嫌だな」
「そ、そうですよね!すみません、私出過ぎたことを言ってしまい……」
「そうじゃなくて」

俺も真剣に佐倉さんの方へ向き直す。
警護の申し出は今までももらったことはあったけれど、断ってきた。
だから、自分の口からこんな言葉が出るとは思わなかった。

「俺のクエストは佐倉さんに託す。だから……佐倉さんの成績を俺に託して?」
「……へ?」
「昼間の話、いいよ」
「んん?」
「特待生、説得されてあげるよ」
「い、いや!こういうのって時間をかけて説得するものだと……」

「けれど……佐倉さんも一緒に特待生目指すのが条件」
「……ええっ!?」