赤染くんについていって、二階にあがる。
赤染くんの部屋に、入るのか。すごい展開。
部屋のドアを開け、赤染くんが私を招き入れてくれた。
「お、おじゃまします……」
「おじゃましますって」
赤染くんが、おかしそうにくすくす笑う。
あ、ここは最初にいた部屋だ! てことは、物語は赤染くんの部屋と私の部屋が繋がっているってこと?
部屋の中には、大きな本棚があった。これも、イラストで見た覚えがある、赤染くんは読書が好きっていうキャラクターなの。でも、具体的にどんな本を読んでいるかは物語に書かれていないから、興味はあった。
赤染くんがベッドに座る。私はどこに座ろうか。とまどっていると、赤染くんがベッドをぽんぽんとたたく。
「横、座って」
横って! 赤染くんの隣? ベッドに?
「人様のベッドの上に座るのは……」
「俺、そういうの気にしてないから」
赤染くんが、私の手首を握って、なかば強引にベッドに座らせた。
いやぁぁぁぁ、すごいことが起きているよ!
私の身体はずーっと沸騰状態だけど、その中でも手首はさらに熱い。
赤染くんの手、あったかい。赤染くんは、この世界でちゃんと生きている人間なんだ。
改めて赤染くんの存在を思い知る。夢じゃない。
赤染くんも、自分の手のひらを見ている。そして、私の顔をまじまじと見た。
「眞緒ちゃん、生きている。二次元じゃない」
「同じこと、思った」
思わず吹き出した。赤染くんがあまりに大真面目な顔をしているから。
「だってさ、おどろくよ。イラストでしか見たことがないんだから」
「私も、びっくりしちゃった」
ふつうの会話を、赤染くんとしている。私、ちゃんとしゃべれているよね? もごもごしてないか、急に不安になってきた。
私の不安をよそに、赤染くんは真剣な顔つきになる。
「えっと、それで眞緒ちゃんはどうやってこっちの世界に?」
そうだ、楽しく会話している場合じゃない。
「学校から帰って、部屋で『カラリス☆ステージ!』の一巻を広げたら、いつの間にか」
「『カラリス☆ステージ!』っていうの? この世界の物語は」
「うん」
赤染くんが、おもしろそうに目を細めた。
そうだよね、自分の生きている世界にタイトルがついているっておもしろいよね。
「私のいる世界の物語って、どういうタイトルなの?」
やっぱり気になる!
赤染くんは立ち上がって本棚から一冊の本を取り出してまた私の隣に座る。
ふわっといい香りがする。シャンプーのにおい? ボディクリーム? それとも香水?
あまくて、すこし刺激的なにおいが赤染くんにぴったりだった。
「眞緒ちゃんの世界はこれ」
見せてくれた本の表紙には『ひまわりダイアリー』というタイトルロゴが書いてある。
リカコと思われる女の子が、ひまわり柄のノートを持っているイラストが描かれていた。そのとなりには、黄色くてまるっこい犬のような猫のようなどうぶつのイラスト。
イラストになっても、リカコはかわいいな……。ひまわりは、リカコの好きな花なんだよ。
「モデルのリカコちゃんが、芸能界でおきるあやかし事件を解決していく話だよ」
「あやかし事件?」
ずいぶんフィクションな物語! あやかしなんて見たことないよ。
「おしゃべりできる『マル』が相棒」
表紙イラストの、黄色いいきものを指さす。その指が、細くて長くてきれいで驚いてしまう。
「あやかしも、おしゃべりできるいきものも、私の世界にはいないよ」
「そうなの? あ、でもリカコは、眞緒ちゃんにはあやかしのこともマルのこともひみつにしているから知らないだけかも」
「そ、そうなのかな……」
「眞緒ちゃんが知らない間に、命の危機から救ったこともあるよ! 下校中、あやかしに襲われそうになった眞緒ちゃんを――」
目を輝かせながら、ストーリーを教えてくれる。
私がなにも知らない間に、リカコがマルとあやかし事件を解決していたとしたら……夢が広がる!
とはいえ、やっぱりリカコは物語の中でもかっこいいな。
私はなにも知らずに、ただ助けられているだけの脇役。それに不満は……ない、よ。
「眞緒ちゃんの登場シーンはね……」
赤染くんが『ひまわりダイアリー』をひらいた。
私に本の中を見せるため、めちゃくちゃ密着してくる。赤染くんの二の腕が、ぴったりと。
ドキドキが、赤染くんに伝わったらはずかしい。必死で心臓の音をおさえこみながら、私は本に目をやる。
文字が目に入ってきて、そして。
赤染くんの部屋に、入るのか。すごい展開。
部屋のドアを開け、赤染くんが私を招き入れてくれた。
「お、おじゃまします……」
「おじゃましますって」
赤染くんが、おかしそうにくすくす笑う。
あ、ここは最初にいた部屋だ! てことは、物語は赤染くんの部屋と私の部屋が繋がっているってこと?
部屋の中には、大きな本棚があった。これも、イラストで見た覚えがある、赤染くんは読書が好きっていうキャラクターなの。でも、具体的にどんな本を読んでいるかは物語に書かれていないから、興味はあった。
赤染くんがベッドに座る。私はどこに座ろうか。とまどっていると、赤染くんがベッドをぽんぽんとたたく。
「横、座って」
横って! 赤染くんの隣? ベッドに?
「人様のベッドの上に座るのは……」
「俺、そういうの気にしてないから」
赤染くんが、私の手首を握って、なかば強引にベッドに座らせた。
いやぁぁぁぁ、すごいことが起きているよ!
私の身体はずーっと沸騰状態だけど、その中でも手首はさらに熱い。
赤染くんの手、あったかい。赤染くんは、この世界でちゃんと生きている人間なんだ。
改めて赤染くんの存在を思い知る。夢じゃない。
赤染くんも、自分の手のひらを見ている。そして、私の顔をまじまじと見た。
「眞緒ちゃん、生きている。二次元じゃない」
「同じこと、思った」
思わず吹き出した。赤染くんがあまりに大真面目な顔をしているから。
「だってさ、おどろくよ。イラストでしか見たことがないんだから」
「私も、びっくりしちゃった」
ふつうの会話を、赤染くんとしている。私、ちゃんとしゃべれているよね? もごもごしてないか、急に不安になってきた。
私の不安をよそに、赤染くんは真剣な顔つきになる。
「えっと、それで眞緒ちゃんはどうやってこっちの世界に?」
そうだ、楽しく会話している場合じゃない。
「学校から帰って、部屋で『カラリス☆ステージ!』の一巻を広げたら、いつの間にか」
「『カラリス☆ステージ!』っていうの? この世界の物語は」
「うん」
赤染くんが、おもしろそうに目を細めた。
そうだよね、自分の生きている世界にタイトルがついているっておもしろいよね。
「私のいる世界の物語って、どういうタイトルなの?」
やっぱり気になる!
赤染くんは立ち上がって本棚から一冊の本を取り出してまた私の隣に座る。
ふわっといい香りがする。シャンプーのにおい? ボディクリーム? それとも香水?
あまくて、すこし刺激的なにおいが赤染くんにぴったりだった。
「眞緒ちゃんの世界はこれ」
見せてくれた本の表紙には『ひまわりダイアリー』というタイトルロゴが書いてある。
リカコと思われる女の子が、ひまわり柄のノートを持っているイラストが描かれていた。そのとなりには、黄色くてまるっこい犬のような猫のようなどうぶつのイラスト。
イラストになっても、リカコはかわいいな……。ひまわりは、リカコの好きな花なんだよ。
「モデルのリカコちゃんが、芸能界でおきるあやかし事件を解決していく話だよ」
「あやかし事件?」
ずいぶんフィクションな物語! あやかしなんて見たことないよ。
「おしゃべりできる『マル』が相棒」
表紙イラストの、黄色いいきものを指さす。その指が、細くて長くてきれいで驚いてしまう。
「あやかしも、おしゃべりできるいきものも、私の世界にはいないよ」
「そうなの? あ、でもリカコは、眞緒ちゃんにはあやかしのこともマルのこともひみつにしているから知らないだけかも」
「そ、そうなのかな……」
「眞緒ちゃんが知らない間に、命の危機から救ったこともあるよ! 下校中、あやかしに襲われそうになった眞緒ちゃんを――」
目を輝かせながら、ストーリーを教えてくれる。
私がなにも知らない間に、リカコがマルとあやかし事件を解決していたとしたら……夢が広がる!
とはいえ、やっぱりリカコは物語の中でもかっこいいな。
私はなにも知らずに、ただ助けられているだけの脇役。それに不満は……ない、よ。
「眞緒ちゃんの登場シーンはね……」
赤染くんが『ひまわりダイアリー』をひらいた。
私に本の中を見せるため、めちゃくちゃ密着してくる。赤染くんの二の腕が、ぴったりと。
ドキドキが、赤染くんに伝わったらはずかしい。必死で心臓の音をおさえこみながら、私は本に目をやる。
文字が目に入ってきて、そして。


