主人公なんかじゃない

 家に帰り、自室の本棚に並べてある「カラリス☆ステージ!」の一巻を手に取った。
 物語の最初は、赤染くんがアイドルを目指して事務所が借りている家……つまりシェアハウスに入るところからスタートする。そこで、のちにカラリスを結成する四人のメンバーと出会うの。

 慣れない共同生活、厳しいレッスン、メンバーとのケンカ、そして友情などが描かれていて、ページをめくるごとにはらはらしてしまう。
 何度も何度も読んで、そのたびに感動している。特に、デビューが決定した一巻のラストは毎回泣いてしまうんだ。赤染くんの夢が叶った姿を見るだけで、私も幸せな気持ちになれる。

 現実では、こんなにもキラキラした気持ちにはなれない。
 せめて物語の中だけは、私もキラキラの世界に浸りたい。

 自分が、物語の主人公になりたいわけじゃない。でも、もし『カラリス☆ステージ!』の世界に自分もいられたら……なんて思うことは……ちょっとだけ、ある。
 そんなこと、できるはずないけどね!
 それに、『カラリス☆ステージ!』の世界に私がいたところで、脇役にすらなれないよね。
 名前もセリフもない、クラスメイトのひとりだろうし。

 私は一巻を手にしたままベッドに寝転がる。部屋着に着替える前に、制服のまま寝ころんでしまったけど、起き上がるのがめんどうでそのまま。

 夕飯の時間まで読もう。セリフも暗記しそうなレベルで読んでいるけど、何度だって読みたい!
 表紙の赤染くんを見て、自然と表情がほころぶ。ついつい、笑顔になっちゃう!
 ページを開いて、さあ、『カラリス☆ステージ!』の世界へ!