パーティーゲームって、めちゃくちゃ性格がでる遊びだなって思う。
「うぉらーーーー! オレが勝ぁーーーつ!!」
いつも以上に大きな声をあげてだれよりもはりきる黒島タイガくん。
今は、リモコンをふって画面上のキャラクターを走らせるゲームをやっているよ。
「僕も負けないよー! いけいけー!」
桃原ハルトくんがリモコンをふりふりしながらタイガくんに迫る。笑顔を絶やすことなく、それでも真剣にがんばる姿はハルトくんらしい。
黄川田ミナトくんは無言でリモコンを振る。
柴村シオンくんは疲れてしまったのか、リモコンを振る速度はのんびり。
ゲームに参加できるのは四人だから、私と赤染くんはその姿を見ている。
ソファに隣同士座り、みんなを応援!
好きバレしている可能性もあるから、なかなか落ち着かないんだけど……。
とはいえ、赤染くんはアイドルなんだから、好きバレしたところで問題はない気もする。普通の男の子じゃないんだもん。
そう、普通の男の子じゃない。
私は、ゲームを楽しむほかのメンバーを、優しい笑顔で見つめる赤染くんを見て思う。
こんなにかっこよくて、やさしくて、気づかいもできるすてきな男の子は、普通じゃない。
アイドルだから。物語の中の人だから。
赤染くんが近くになった分、普通じゃないことをあらためて実感してしまう。
でも、赤染くんからしたら私も物語の中の人なのか? 私も、普通じゃないってこと? 普通じゃないのはリカコだけで、私は物語の中の普通の子なの?
なんだか、よくわからなくなってきた……。考えるのやめよう。
時計を見る。八時四十分。そろそろ帰ったほうがいいのかも。家にいないことが親にバレるのはまずい!
ほんとうは、ぜーんぜん、帰りたくないんだけどね。ずっと、カラリスメンバーと遊んでいたい。でも、そういうわけにはいかないから、帰らないと。
「赤染くん、私そろそろ帰ろうかな」
メンバーがいる手前、どうやって帰ったらいいかわからない。助けを求めるように、赤染くんに小さな声をかける。
赤染くんはうん、とうなずくと、小声で「玄関脇の防音室から帰ろう。本を置いておいたんだ」と呟いた。
赤染くん、頭もいいから事前にちゃんと手配してくれているんだね。つまり、リビングでばいばーいってメンバーとお別れして、玄関を出たふりをして脇の防音室に入って『ひまわりダイアリー』を開けば、私はもとの物語の中に戻れる……ってことだね!
赤染くんとひみつのこそこそ話をすると、自然と接近してしまうからすごく恥ずかしい!
ゲームのキリがいいところで、赤染くんは立ち上がる。
「みんな、眞緒ちゃん帰るって!」
赤染くんが声をかけると、メンバーみんなが振り返る。
「俺が送っていくから、みんなはゲームの続きをやっていて」
赤染くんのカンペキな計画!
これでスムーズに帰れる……と思いきや。
「オレも送っていく!」
タイガくんが立ち上がる。
「えっ……」
思わず、声が出る。困るよー!
「え、ダメ?」
「ダメじゃない、けど……」
「だったら僕たちも……こんなに遅い時間にふたりで歩かせるのはキケン……」
シオンくんまで!
「そうだね、夜はキケンだしタクシー呼ぼー! 駅までー?」
ハルトくん、スマホでタクシーの配車アプリを開いた。すごい、中学生でタクシーを呼ぶアプリをいれている子、初めて見た。芸能人なんだなぁ。
「あまったお菓子、お持ち帰りする?」
ミナトくん、お母さんみたいに、開封していないお菓子を袋に詰め始めた。
みんな、いい人すぎる! でも困る!
助けを求めるために、赤染くんを見る。
さすがの赤染くんも、困惑した表情……。
「えっと……眞緒ちゃん、近くのコンビニまで親御さんが車で迎えにくるから、タクシーはだいじょうぶ! 俺ひとりで送るからみんなはゲームしてて」
それでも「みんなで送ろう」って言われたらどうしよう。これ以上断るのも、おかしいよね?
どきどきしながらみんなを見る。
いっしゅんの迷いのあと、ハルトくんが口を開いた。
「そうなんだー、じゃあ心配いらないねー」
その言葉にみんな納得してくれたようで、座り直してゲームのリモコンを握り直してくれた。
「また来てな!」
「お菓子持っていって」
「また……来てね……」
みんなが、口々に言ってくれる。ほんとうに、やさしくてすてきな男の子たちだ。
「うん、ありがとう!」
私と赤染くんは、リビングを出て玄関に向かう。
そして、メンバーが誰も見ていないことを確認してから防音室に入った。
思わずふーっと息を吐く。
「危なかった! あいつら、眞緒ちゃんがものめずらしいんだよ」
赤染くんは、ようやく安心した笑みを見せた。
「それにしてもメンバーのみんな、すごくいい人たちだね」
「物語の中と同じ?」
「うん、物語の中以上にいい人だと思う。それに……物語って大事なイベントごとしかエピソードにならないから、こういった日常の細やかなやりとりってわからないし」
「そうだね、俺も、眞緒ちゃんが普段なにを考えているか実はあんまり知らない、かも。お話はリカコちゃん目線で進むから」
どこまで知っているんだろう? 私のこと。
赤染くんが好き、ってバレてないのかな。
物語の中の私ってどういう子なの?
気になるけど、怖くて聞けないよー!
そのときふと、赤染くんが真剣な顔になる。
え、なんだろう。不安になる……。
どきどきしながら言葉を持つ。
「あのさ、実は明日の金曜日から、一週間くらいカラリスメンバーは全員家にいないんだ」
「そうなの?」
「ライブとロケがあって、ずっと泊りなんだ。だから……メンバーに会ってもらうのは、ちょっとむずかしい」
「そっか」
残念だな……。
でも、赤染くんの言い方にちょっとひっかかる。なんだろう……。「メンバーに会ってもらうのは」って。ヘンな言い方。
「うぉらーーーー! オレが勝ぁーーーつ!!」
いつも以上に大きな声をあげてだれよりもはりきる黒島タイガくん。
今は、リモコンをふって画面上のキャラクターを走らせるゲームをやっているよ。
「僕も負けないよー! いけいけー!」
桃原ハルトくんがリモコンをふりふりしながらタイガくんに迫る。笑顔を絶やすことなく、それでも真剣にがんばる姿はハルトくんらしい。
黄川田ミナトくんは無言でリモコンを振る。
柴村シオンくんは疲れてしまったのか、リモコンを振る速度はのんびり。
ゲームに参加できるのは四人だから、私と赤染くんはその姿を見ている。
ソファに隣同士座り、みんなを応援!
好きバレしている可能性もあるから、なかなか落ち着かないんだけど……。
とはいえ、赤染くんはアイドルなんだから、好きバレしたところで問題はない気もする。普通の男の子じゃないんだもん。
そう、普通の男の子じゃない。
私は、ゲームを楽しむほかのメンバーを、優しい笑顔で見つめる赤染くんを見て思う。
こんなにかっこよくて、やさしくて、気づかいもできるすてきな男の子は、普通じゃない。
アイドルだから。物語の中の人だから。
赤染くんが近くになった分、普通じゃないことをあらためて実感してしまう。
でも、赤染くんからしたら私も物語の中の人なのか? 私も、普通じゃないってこと? 普通じゃないのはリカコだけで、私は物語の中の普通の子なの?
なんだか、よくわからなくなってきた……。考えるのやめよう。
時計を見る。八時四十分。そろそろ帰ったほうがいいのかも。家にいないことが親にバレるのはまずい!
ほんとうは、ぜーんぜん、帰りたくないんだけどね。ずっと、カラリスメンバーと遊んでいたい。でも、そういうわけにはいかないから、帰らないと。
「赤染くん、私そろそろ帰ろうかな」
メンバーがいる手前、どうやって帰ったらいいかわからない。助けを求めるように、赤染くんに小さな声をかける。
赤染くんはうん、とうなずくと、小声で「玄関脇の防音室から帰ろう。本を置いておいたんだ」と呟いた。
赤染くん、頭もいいから事前にちゃんと手配してくれているんだね。つまり、リビングでばいばーいってメンバーとお別れして、玄関を出たふりをして脇の防音室に入って『ひまわりダイアリー』を開けば、私はもとの物語の中に戻れる……ってことだね!
赤染くんとひみつのこそこそ話をすると、自然と接近してしまうからすごく恥ずかしい!
ゲームのキリがいいところで、赤染くんは立ち上がる。
「みんな、眞緒ちゃん帰るって!」
赤染くんが声をかけると、メンバーみんなが振り返る。
「俺が送っていくから、みんなはゲームの続きをやっていて」
赤染くんのカンペキな計画!
これでスムーズに帰れる……と思いきや。
「オレも送っていく!」
タイガくんが立ち上がる。
「えっ……」
思わず、声が出る。困るよー!
「え、ダメ?」
「ダメじゃない、けど……」
「だったら僕たちも……こんなに遅い時間にふたりで歩かせるのはキケン……」
シオンくんまで!
「そうだね、夜はキケンだしタクシー呼ぼー! 駅までー?」
ハルトくん、スマホでタクシーの配車アプリを開いた。すごい、中学生でタクシーを呼ぶアプリをいれている子、初めて見た。芸能人なんだなぁ。
「あまったお菓子、お持ち帰りする?」
ミナトくん、お母さんみたいに、開封していないお菓子を袋に詰め始めた。
みんな、いい人すぎる! でも困る!
助けを求めるために、赤染くんを見る。
さすがの赤染くんも、困惑した表情……。
「えっと……眞緒ちゃん、近くのコンビニまで親御さんが車で迎えにくるから、タクシーはだいじょうぶ! 俺ひとりで送るからみんなはゲームしてて」
それでも「みんなで送ろう」って言われたらどうしよう。これ以上断るのも、おかしいよね?
どきどきしながらみんなを見る。
いっしゅんの迷いのあと、ハルトくんが口を開いた。
「そうなんだー、じゃあ心配いらないねー」
その言葉にみんな納得してくれたようで、座り直してゲームのリモコンを握り直してくれた。
「また来てな!」
「お菓子持っていって」
「また……来てね……」
みんなが、口々に言ってくれる。ほんとうに、やさしくてすてきな男の子たちだ。
「うん、ありがとう!」
私と赤染くんは、リビングを出て玄関に向かう。
そして、メンバーが誰も見ていないことを確認してから防音室に入った。
思わずふーっと息を吐く。
「危なかった! あいつら、眞緒ちゃんがものめずらしいんだよ」
赤染くんは、ようやく安心した笑みを見せた。
「それにしてもメンバーのみんな、すごくいい人たちだね」
「物語の中と同じ?」
「うん、物語の中以上にいい人だと思う。それに……物語って大事なイベントごとしかエピソードにならないから、こういった日常の細やかなやりとりってわからないし」
「そうだね、俺も、眞緒ちゃんが普段なにを考えているか実はあんまり知らない、かも。お話はリカコちゃん目線で進むから」
どこまで知っているんだろう? 私のこと。
赤染くんが好き、ってバレてないのかな。
物語の中の私ってどういう子なの?
気になるけど、怖くて聞けないよー!
そのときふと、赤染くんが真剣な顔になる。
え、なんだろう。不安になる……。
どきどきしながら言葉を持つ。
「あのさ、実は明日の金曜日から、一週間くらいカラリスメンバーは全員家にいないんだ」
「そうなの?」
「ライブとロケがあって、ずっと泊りなんだ。だから……メンバーに会ってもらうのは、ちょっとむずかしい」
「そっか」
残念だな……。
でも、赤染くんの言い方にちょっとひっかかる。なんだろう……。「メンバーに会ってもらうのは」って。ヘンな言い方。


