『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました

 そう気づいた瞬間、ガバリと身を起こす。

(寝過ごした⁉ 会社……!)

 その直後、今日は土曜日で休日出勤もないと思い出し、ほっと胸を撫でおろす。そこで初めて紗月は自分がいるのが自宅アパートのベッドではないと気づく。

 軽く混乱しながら状況を確認しようとさらに首を動かした紗月は、隣に男性が寝ているのに気づき、悲鳴が出そうになるのをすんでのところで止める。

「そうだった……」

 一瞬ですべてを思い出した紗月は小さく声を漏らして頭を抱えた。

 昨日は居酒屋で飲んでいたら酔っ払いに絡まれて、助けてくれたこの人、大須賀と飲みに行き彼を相手に愚痴を吐きまくっている内になぜかホテルに誘われて、一夜を過ごした。

(昨日は久しぶりのアルコールでだいぶ酔ってたから……でも、ぜんぶ記憶が残っているのが辛い)

 すべてが終わった後、彼は疲れ切った紗月を気遣い『ゆっくり休んで』と言って優しく寝かしつけてくれた。素肌の上には、上質なバスローブ。きっと寝たあとに彼が着せてくれたのだろう。

(私が、初めて会った男性とワンナイト……)