『ちゃんと洗ってある。返さなくていいから、使って』
『あ、ありがとう……』
淡いブルーのハンカチを、申し訳なさを覚えつつ受け取る。
『大切な話、打ち明けてくれて嬉しかった。もちろん、誰にも言わないから』
目尻の涙を拭いながら、彼に伝えられたのは自分の正直な気持ちだけだった。下手な慰めや気休めの言葉は、あまりにも軽く思えて口にできなかった。
『俺こそ、聞いてくれてありがとう』
航生は早口で言うと、無造作に前髪をかき上げた。その拍子に普段は隠れていた顔が露わになる。涙で視界は滲んではっきりとは見えないが、輪郭や眼鏡の奥の瞳がとても綺麗に見えた。
『島君、前髪あげて眼鏡外したら実はすごいイケメンだったりする?』
泣いているのが恥ずかしくて紗月はわざと話題を変える。すると航生は『自慢できる顔じゃない』と言って素早く髪を元に戻した。
『でも、いつか……』
独り言のような彼の声はそのまま風に流れていく。ふたりはしばらくベンチで並びながら無言で冬の空を見上げた。
たゆたう意識の底で、懐かしく悲しい思い出に浸かっていた紗月は、ゆっくりと瞼を開ける。
(……あれ、もしかして朝?)
『あ、ありがとう……』
淡いブルーのハンカチを、申し訳なさを覚えつつ受け取る。
『大切な話、打ち明けてくれて嬉しかった。もちろん、誰にも言わないから』
目尻の涙を拭いながら、彼に伝えられたのは自分の正直な気持ちだけだった。下手な慰めや気休めの言葉は、あまりにも軽く思えて口にできなかった。
『俺こそ、聞いてくれてありがとう』
航生は早口で言うと、無造作に前髪をかき上げた。その拍子に普段は隠れていた顔が露わになる。涙で視界は滲んではっきりとは見えないが、輪郭や眼鏡の奥の瞳がとても綺麗に見えた。
『島君、前髪あげて眼鏡外したら実はすごいイケメンだったりする?』
泣いているのが恥ずかしくて紗月はわざと話題を変える。すると航生は『自慢できる顔じゃない』と言って素早く髪を元に戻した。
『でも、いつか……』
独り言のような彼の声はそのまま風に流れていく。ふたりはしばらくベンチで並びながら無言で冬の空を見上げた。
たゆたう意識の底で、懐かしく悲しい思い出に浸かっていた紗月は、ゆっくりと瞼を開ける。
(……あれ、もしかして朝?)



