『OGセラミックって会社知ってる?』
航生はほとんど葉の残っていない木の枝を見上げて、唐突に話し出した。
『うん。よくCMとかで見かける大きな会社だよね』
超有名企業の名前を問われて、紗月は素直に答える。
『俺の父親は、あそこの経営者だ。母は父の愛人で、俺はその間に生まれた』
言葉を失った紗月を尻目に、航生はさらに話し続けた。
化学メーカーOGセラミック株式会社は日本を代表する素材メーカーのひとつだ。
創業一族の三代目である航生の父は、大手化学メーカー社長のひとり娘を妻に迎え、跡取りとなる長男をもうけていた。しかし、屋敷に住み込みで働いていた若い家政婦を身ごもらせる。それが、航生の母だ。
『しばらく俺は屋敷の離れで暮らしてたんだけど、いろいろあって母さんと家を出たんだ』
『そう、なんだ……』
彼の言った〝いろいろ〟にどれだけ辛い経験があったのだろう。そう思うと胸が詰まった。
『周りからの風当たりは強かった。でも、兄さんだけは俺たちを無下にしなかった』
『お兄さんって、さっき会った人だよね』
航生はほとんど葉の残っていない木の枝を見上げて、唐突に話し出した。
『うん。よくCMとかで見かける大きな会社だよね』
超有名企業の名前を問われて、紗月は素直に答える。
『俺の父親は、あそこの経営者だ。母は父の愛人で、俺はその間に生まれた』
言葉を失った紗月を尻目に、航生はさらに話し続けた。
化学メーカーOGセラミック株式会社は日本を代表する素材メーカーのひとつだ。
創業一族の三代目である航生の父は、大手化学メーカー社長のひとり娘を妻に迎え、跡取りとなる長男をもうけていた。しかし、屋敷に住み込みで働いていた若い家政婦を身ごもらせる。それが、航生の母だ。
『しばらく俺は屋敷の離れで暮らしてたんだけど、いろいろあって母さんと家を出たんだ』
『そう、なんだ……』
彼の言った〝いろいろ〟にどれだけ辛い経験があったのだろう。そう思うと胸が詰まった。
『周りからの風当たりは強かった。でも、兄さんだけは俺たちを無下にしなかった』
『お兄さんって、さっき会った人だよね』



