『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました

 航生の頬に置いていた手が優しく外されて、顔がゆっくりと近づいてくる。キスの予感に、紗月はそっと目を閉じた。

「愛してる」

 唇が触れる寸前、甘い声が落ちる。

 私も、と言葉にするより先に、紗月の唇は彼の吐息に塞がれた。

 朝の光が差し込む春の窓辺で、ふたりはしばらくの間、互いの温もりを確かめるように唇を重ねた。


END