敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「そうじゃないが、一人になった方が楽だ。皆を危険にさらしたくない」

「ダメです、チームリーダーになってもチーフは私のチーフです。離れませんからね!ううう……」

 雪は泣きながら喚き散らした。高原は雪の口を覆った。

「大声で子供みたいに泣きわめくなよ。狼の一番弟子の癖に、メーメーうるさいぞ。子羊なのか?」

「……ずずっ……」

 雪はティッシュで鼻をかんだ。高原はそれを見て笑った。

「警告が来て、手を出すなと言われていたんだ。やり口は説明してあったが、こうなった以上責任を……」

「怪我したのに、責任って何です?社員を守るのが会社の役目でしょ」

「まあ、落ち着けよ。チームはいずれお前に譲るつもりだった。ただ、少し時間をおいたほうがいいな」

「チームはいりません」

 ちっとも嬉しくない。考えると悲しくてまた涙が出てきた。

「……うぅ……」

「佐山」

 頭を撫でる手は優しい。

「落ち着け。どっちにしても怪我が治るまでどうにもならん」

「当たり前ですよ、ぐすっ」

「それにこの件を決着させないと譲れない。お前が心配で仕事どころじゃない」