敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 高原は記事にしないという約束を守った。その代わり、他の方向から真実を追求しようとした。

 それが氷室副社長に渡したあの表だ。

 副社長は案の定何かに気づいて、その質問の理由を知りたがった。海江田君の話が本当なら、副社長が晴海を探った。

 それも今思えばきっとそれもチーフの計画のうちだったに違いない。自分の手は汚さない。つまり、警告文に従っていたのだ。

「実は佐山がインタビューをしたあと、しばらくして氷室から電話をもらった」

「それで?」

「やはり予算の水増しがあるようだと言っていた。晴海の担当者にそれとなく尋ねたらしい」

「それって……」

「不正があったのは確実だが、上がどの程度関わっているかわからないと氷室は言っていた」

「海江田君が晴海証券で商事の人からチーフが氷室商事の担当になったのか聞かれたようです」

「氷室は晴海の社長に問いただした際、そのことを誰から聞いたのかと聞かれたそうだ」

「ええ?!」

「氷室はどうせ狼だろうとカマをかけられたそうだ」

「それで?」

「俺から資料を受け取っただけだと伝えたそうだ」