敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 成美ちゃんだった。びっくりして折り返した。

 メールではなく電話をかけてきているということは緊急事態かもしれない。

「雪先輩、大変です!」

「なに、どうしたの?」

「チーフが事故にあって……」

「事故って何!」

 自分でも驚くくらい大きな声が出て、運転手がミラー越しに雪を見ていた。

「よくわからないんですけど、右足を骨折したらしくて病院にいるみたいなんです」

「骨折?!嘘でしょ……」

「それが、運ばれた病院が先輩のお母さんのいる病院だったんですよ」

「えー?!」

「寄ってきてもらえますか?チーフのこの後の仕事をどうすべきか聞いてきてほしいんです」

「わかった。大分戻ってきたんだけど引き返すよ」

 運転手は路肩に車を停めてくれた。

「だって、電話もたくさん入っているし、部長と海江田君は出張でいないし……」

「もっと早く電話すればよかった……」

「すみませんが戻ってください。聞いて欲しいことまとめて送ります。よろしくお願いします」

「了解」

 タクシーはUターンして走り出した。

「大丈夫かな、チーフ……」