敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 何も言い返せない。約束が守れないのだ。

 退院後もしばらくは安静が必要だと医師からも言われていた。

「ごめんなさい。でも、お母さんのことは何とかしようと思ってた」

「はい、はい。わかってますよ」

「向こうは本当にいいって言ったの?まだ新婚だよね?」

「まさか、一緒に暮らさないわよ。近くに家を借りようかな」

「お金かかるじゃない」

「まあ、あっちは一緒に暮らそうとしてくれてる」

「しばらくの間だけあっちにいたら?」

「それもいいかもね」

 言いづらい。さらに忙しくなるかもしれない。

「お母さん、実は私昇格すると思うんだ。念願のチームリーダーになれる」

「雪、おめでとう!頑張ってきたかいがあったわね」

「うん。色々ありがとう。お母さんのサポートのお陰だよ」

「さらに忙しくなるんじゃ、家事大丈夫なの?」

「それはなんとかなる。ここ二か月、今だってやってるよ」

「まあ、そうね。掃除しなさいよ」

「はーい」

「昇格もいいけど、自分の人生もね」

 言いたいことはわかっている。彼氏がずっといない状態だ。

 脈はないが、好きな人の側にいるから満足だった。