敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「お台場の件はチーフだけじゃなくて、僕が今後サブになるそうです」

「え?!」

 まさか、氷室商事の担当って下ろされるんじゃないだろうか。

 昇格すればこのチームを離れる。

 本当に嫌な予感がした。こういう予感に限って当たるのだ。

 案の定大変なことになった。

 翌日のことだった。

 外出禁止だったが、入院中の母の病院へは行かざるを得ない。

 許しをもらってタクシーで行った。

「お母さん、その後どう?」

 雪は午前中母のお見舞いに病院へでかけていた。

「あら、雪」

「ごめん。色々あって……おとといは来られなくてごめんなさい」

「いいのよ、病院で全部レンタルしているし、無理しないで」

 雪は父が亡くなっていて、母と二人で住んでいた。

 母は仕事先で転んで、足を複雑骨折。ボルトを入れる手術をして、もうすぐ退院だ。

「ねえ、雪」

「なに?」

「退院してからのことだけど、達臣のいる愛媛へ行くことにするわ」

 達臣は雪の5歳上の兄。仕事で愛媛にいる。一年前に結婚したばかりだ。

「どうして?」

「どうしてって、あなた私の世話は無理よ。忙しすぎるじゃない」