敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 野村が好きな成美は真っ赤だ。可愛い。しかし、野村は違う人が好き。

「わかったから、頑張ろう」

「雪先輩大好き」

「うん、私も成美ちゃんのこと好きだよ」

 抱きついてくる、彼女の背中をポンとたたいた。ため息が出た。

 PCの前でひたすら編集や執筆に時間を費やすのも悪くはない。

 以前はこの時間が捻出できなくて、残業していたのだ。

 しかし、外出がなくなるのも退屈なのだ。

 雪は耐えられなくなってきた。

「佐山、何だその目は」

「私も行きたいです」

「だめだ」

 すると、海江田君が黒眼鏡を持ち上げながらチーフに言った。

「今日の午後は佐山さんと交代してもらったほうが僕も助かります」

「だめだ」

「どうしてですか?僕も最近出てばかりで執筆が滞ってしまって……」

「じゃあ、書く方を佐山に預けろ」

「は?」
「どうしてですか?」

「とにかく、佐山はしばらく外出禁止。部長からも言われただろう」

 どうしても理解できない。外出禁止なんて初めてだ。何をやらかしたんだろう。

 * * *

「佐山さん」

 海江田が取材から戻ってきた。

「お疲れ様」