敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 雪はびっくりした。そういうことだったのか。ようやく少しわかってきた。

「そういうことですか……」

「佐山ならわかるだろう?高原の足を引っ張るなよ」

「わからないけど、わかりました」

 言ってることが矛盾している。情けない。しかし、部長は嬉しそうに頷いた。

「佐山、記事の掲載が決まり次第、チームリーダーに昇格させるからな」

「本当ですか?」

「ああ。内示だと思ってくれていい。インタビュー記事は社長も見てOKが出てる」

 嬉しかった。社長直々にOKなんて夢みたいだ。

「私はどの部隊に……」

 チーフから離れる可能性が高い。フロアも変わるんだろうか。

「それはまだ、待ってくれ」

「すみません、勇み足でした」

「ああ、心配するな。任せてほしい」

「はい」

「それとこれも内密にな」

「わかっています」

 * * *

「佐山、しばらくお前は内勤にしてくれ」

 その日、突然高原チーフから命令された。

「はい?」

「海江田を育てたい。取材はあいつにさせる」

「えー!どうしてですか?」

「どうして?お前は一応、先が見えてる」

 昇格のことだろうか?