敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です



 あれから一週間。

 雪はインタビュー原稿の二回目の推敲を部長にあげていた。

 部長室に呼ばれたので、そのことだと思った。

「佐山、急なんだが、インタビューの記事は掲載を見合わせることとなった」

「え?どうしてですか?」

 珍しく、探るような顔をして部長がこちらを見た。

「……高原から何も聞いてない?」

 びっくりして机を叩いた。

「何も聞いてませんし、何も知らないです!」

 部長は私の様子を見て、しばらく固まると、噴き出した。

「……そう言えと言われた?」

 雪が口を一文字にしているのを見て、部長は息を吐いた。

「偉いぞ、佐山」

「はい?」

「それでいい。いや、そうだな」

「教えてください。私も氷室商事の担当です」

「氷室商事とは関係ない」

「え?」

「だから教えてないんだよ。俺も知らなくて、高原から知らされて分かった」

「それって……」

「とにかく、この件が片付くまで、氷室副社長の記事は差し控える」

「この件ってあの……」

「高原のためでもある。いいか、晴海商事から何か聞かれたら、何も知らないと答えるんだ」