敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 高原はすごい目で雪を見ていた。雪は急いで目を反らした。

「今日のをまとめたらまずは見せろ」

「はい」

「それと、これの下取材も四日後までに頼む。お前のフォルダに詳しくは転送しておいた」

 高原の腕の上にあった書類の束が雪の手に乗せられた。

「えー!私の仕事を調整してくれるんじゃないんですか?勘弁して下さい!」

「全部佐山がやる必要はない。取捨選択して海江田達に仕事を割り振れ」

「そんな……」

「それも出来ないようならチームリーダーなんて夢のまた夢だな」

 本当に意地悪だ。

「元カレと食事に行くんだろう?仕事は減らすべきだ」

「……ひどい……さっきは優しいかと思ったのに……」

「思ったのに?なんだ?」

「うう……」

「サッサと仕事しろ」

 下からチーフの顔を見上げる。嬉しそうに笑ってる。

「じゃ、頼んだぞ。俺は取材に行く」

「なんなのよ……もう」

 彼は颯爽と背広とカバンを持って出て行ってしまった。

 隠したいこととは何だろう。

 気になってしょうがなかったが、言うことを聞こうと思ったのが間違いだった。