敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 でも、彼が氷室商事に勤めているとは教えていなかったはずだ。

「……あ、あの……」

「図星だったようだな。確か、商社勤務だと言っていたような記憶があった」

「チーフ、本当にすごいですね」

「そうか、氷室商事だったんだな。佐山はどうして秘書に元カレがいるのに仕事を受けたんだ?」

 追い立てるように聞いてきた。

「つきあっているころは秘書にいませんでした。営業だったんです」

「なるほど」

「だから異動していて本当に驚きました。でも産休のピンチヒッターらしいですよ」

「それで、久しぶりに会った元カレはどうだった?」

「それが仕事をしているところを見たのは初めてで新鮮でした」

「ふーん……」

「仕事柄かきちんとしていて、ちょっと変な話、見直しました」

「へえ、惚れ直したか。佐山から振ったんだろう?後悔したか?」

「しませんよ。この間話したじゃないですか」

「本当かな?」

「ただ、来週彼と食事をします。残業はちょっと……」

「ほらみたことか……」

「ありえません。仕事で再会を祝してというか……」