敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「大丈夫だ。蚊帳の外にするのはしばらくの間だけ。時期が来ればお前にも教えるよ」

「チーフ……」

「今後こういうことがあるかもしれない。そういうことの対処についてもいずれ教える」

「はい。よろしくお願いします」

「それまでは、狼の下で子羊はプルプル震えて隠れてろ」

「え?!」

「あはは……そんなことより、さっき氷室商事の秘書から佐山に電話があったぞ」

「え?チーフが電話を取ったんですか?」

 成美ちゃんはどうしたんだろう。フロアを見ると誰もいない。どういうこと?

「林も取材へ行ったらしくて、すっからかんだったんだ」

「海江田君の戻りが遅いですね」

「そう。だから俺が電話に出た。驚いた」

 嫌な予感がした。目が光ってる。

「福原という男だったが、もしかしてあいつはお前の元カレじゃないか?」

 驚いて、口があんぐり開いてしまう。それにしても名前まで覚えてるとは思わなかった。

 一度だけうちの正面玄関へ彼が迎えに来て、チーフとすれ違ったことがあったのだ。

 高原は一度聞いた声と名前をほぼ忘れないし、姿も覚えるという特技を持っていた。