敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

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 事務所へ戻ると、部長とチーフが打ち合わせ中だった。

「あ、雪先輩だ。おかえりなさい。あー、もしかしてその箱!ケーキですか、どうしたんです?」

「氷室商事から駅へ向かう途中に素敵なケーキ屋さんがあってね。頑張ったから買っちゃった」

 私の手から箱をとり上げた成美ちゃんが、中を開けて歓声をあげた。

「うるさいぞ、林。佐山さんお疲れ様でした。取材はどうでしたか?」

 海江田が聞いてきた。今日が氷室商事の日と知っていたからだ。

「あ、うん。うまくいったと思う」

「先に好きなのをもらってもいいですか?」

 成美ちゃんが振り向いて言った。

「いいわよ」

「わーい」

 部長がチーフの部屋を出てきた。

「佐山、氷室副社長が先ほどメールをくれた。お前のことを褒めていたぞ」

「本当ですか?」

「ああ。俺も安心した……早めに編集して原稿を出してくれ」

「わかりました」

「独り立ちできそうだな」

「ご期待に沿えるよう頑張ります」

 部長はうなずいて去って行った。

 席に戻って携帯を見ると、さっそく真司から連絡が来ていた。