敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

『晴海商事と氷室商事 前期決算報告と来期予算 比較表』が目の前に置かれた。

 お台場のプロジェクトは向こう二年間、晴海商事と氷室商事が担当する。

 チーフの担当だ。

 だが、プロジェクトに関係なく、両社の決算報告は毎年チーフが比べている。

 晴海商事の担当はずっとチーフ。氷室商事担当の佐貫部長がチーフに任せていた。

 今期の決算と合わせ、来期の予算の比較表を新副社長に送ってあると報告を受けていた。

 内容はなんとなく見たが、正直、新参者の雪にはわからないことだらけだ。

 副社長は書類を見ながら光る眼で雪を見た。

「実はね、これは初めて見た。毎年作っていたらしいな。前年比もある」

「副社長への就任祝だと高原は言っていました」

「彼らしいね。高原君は晴海商事の担当だよね」

「はい」

「彼の記事がすごいのは、こういうのに裏打ちされているんだな」

「そうでしょうか」

 上目遣いに副社長は伺うように私を見た。

「君はこの表について何か言われてきた?」

「いいえ、何かお聞きになりたいことがあれば、高原へ直接聞いてほしいと言っていました」