敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 スマートな物言い。完璧な御曹司という佐貫部長の評は正解だと思った。

「初回ですので、氷室陽樹さん個人についても少し伺わせてほしいんです」

「どうぞ」

「生粋の御曹司であらせられますよね。幼少期からお父様の後を継ぐつもりでしたか?」

「そうでもないかな。弟に促されてやる覚悟をした」

「弟さんですか?」

「弟は優秀でとても父と似ていたんだ。だからこっちは弟に任せて、僕は別な仕事に就きたかった」

「何ですか?」

「俳優」

 涼しい顔でコーヒーを飲んでいる。

 隣で真司が笑ってる。ここで笑ったらまずい。

 いや、イケメンだからおかしくはない。

 しかし、小さい時から俳優とはさすが御曹司。

「福原笑うなよ。佐山さんまでそんなにおかしい?僕は幼稚舎の時からモテたんだ」

「な、なるほど……ふふふ……それはわかりますよ」

「周りの人間が僕はイケメンになるって言うからさ、俳優になろうと思ってた」

「それが、弟さんにダメだと言われたんですか?」

「うーん。あいつは軍師になりたいって言うんだよね」

「軍師?」

「そう。幼い時から本の虫で、頭が良くてね」