敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 氷室商事の新副社長になる氷室陽樹は高校の同級生でよく知っている。

 非常に優秀なうえ、悪を見逃すような性格じゃないこと。

 晴海に何かあれば、タッグを組む氷室商事に火の粉がかかりかねないので、内密に片付けてくれるはずだと説明した。

 何のリアクションもないなら、知っていて黙っているということだ。

 そうなれば手を引くしかない。

「信頼できるのか?大体、高校を卒業以来会ってないんだろう?」

「大丈夫です。佐貫部長からもあいつの話はずっと聞いてました」

「新しい担当になる透の弟子はどうする?」

「インタビューは別方向です。隠れ蓑を作り、佐山を必ず守ります」

「プロジェクトは透の担当だとでもいう気か?」

「その通りです。氷室に聞かれても何も答えられない」

「もうひとつ、宗田製薬からスポンサーになりたいと常務経由で連絡が来た」

「え?!」

「あれから大分経つ。奈美さんのお父上は違う方法に切り替えたようだ」

「それで、どうされるんですか?」

「お前とお嬢さんとの縁談が決まれば一億出すと言うんだ」

「……!」