敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 え、まさかこの話をチーフにしたの?いや、いや、まさか……。

「話したんですか、それ?」

 佐山リーダーはさらに身体を寄せて小さな声でこう言った。

「彼女になって縁談をつぶしますから、子種を下さいって言ったんだ」

「ええー!」

 大声を出した私の口を小西リーダーが塞いだ。さすがに無謀すぎる。

「うるさいよ」

「ごめんなさい、すごい小西さん。私だったら絶対言えない」

「すごい?前からチーフが結婚を避けてるのはわかっていたからこれしかないよ」

「これしかないって、はあ、ちょっと小西さん……」

 避けているのは結婚だけだろうか。私は恋愛も避けているよう思えた。

「でもね、にべもなく断られた」

 寂しそうな横顔だった。

「縁談はチーフの問題で、お前はずっと自慢の部下でいてほしいって言われた」

「小西さん、あの……元気出して?私でも同じことを言われたと思いますから、あ、自慢じゃなくてただの部下ですけどね」

「そうかなあ……」

「え?」

 小西は雪の背中に手を回した。

「私は、見知らぬお嬢様にチーフをとられるくらいなら、佐山にとられたほうがマシ」