敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 その後、小西リーダーから高原が過去に襲われて、その場にいた女性を庇って怪我をしたことを聞いた。

 その彼女のことを呼び捨てにしていたが、幼馴染だと説明したらしい。

 小西リーダーは、それ以降その幼馴染さんが訪ねてきた姿も見たことがないと言っていた。

「きっと、その程度の幼馴染なのよ。敵じゃないわね」

 笑い飛ばされた。

 いや、絶対に違う。あんな声のチーフは初めてだった。

 奈美、透君と呼び合っていた。結婚という言葉もはっきり聞こえたのだ。

 小西に教えたら、すぐに口に出してチーフに聞いてしまう。とてもそのことは言えなかった。

 * * *

 それ以降、雪は高原と近づきすぎないよう、自分を制してきたのだ。

 しかし、あれから大分経つがその許嫁と結婚の気配もない。

 やはり彼が断ったのかもしれないと思い始めていた。

 もしかすると彼女とは終わったのかと少し期待していた。

「……縁談?」

「うん。うちに出資を希望する宗田製薬のお嬢様ですって。条件はチーフとの結婚」

「えー!」

 雪は腑に落ちた。チーフの様子が変だったのはこれだ。間違いない。