敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 小声で雪に話しかけてきた部長に、高原が手を挙げて話に加わってきた。
 
「部長。自覚が足らない人間の下につくものが可哀そうです。その話は保留にしましょう」

「チーフ、ひどいです!部長、私、頑張りますから任せていただけませんか?」

「頑張るとかそういう問題じゃない。そもそも佐山の自覚と素質が足らないんだ」

「だから、反省してこれからはチーフみたいに部下に厳しくします」

「なんだと?ただ、厳しくしてるわけじゃないのに、お前はそんなことにも気づいてないのか!」

 ふたりで言い争うのを見ていた部長はパンパンと手を叩いた。

「高原、いい加減褒めて育てるを覚えろ。だから、佐山は叱られてるだけだと思っているんだ」

「褒める価値のない人間をどうやって褒めればいいんですかね?」

「部長聞きましたか?どうせ、チーフはいつになったって、私のことなんて褒めてくれません!」

「なんだと?!」

「おいおい、二人ともいい加減にしろ。佐山の今後は氷室商事の取材が終わってから決める」

「はい、わかりました……」

「……はあ……」

 チーフの顔色が悪い。機嫌が悪いのはそのせいもある。