敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 雪はそう言いたいところだったが、黙った。

「そういえば知っていますか?小西リーダー、野村君と結婚するそうです」

「それ、本当なのか?」

「ええ。お蔭で成美ちゃんは仕事一筋になってしまって、昔とは別人になったでしょう?」

「小西のことに、林がどう関係しているんだ?」

 自分の周囲に鈍感だと雪に言っていたのはどこの誰だったか……。雪はため息をついた。

 * * *

 結局、結婚準備もあって、彼が雪にリスク管理を教える時間が会社では取れなかった。

 彼の指導は夜の残業。しかも、彼の家で行われた。

 雪は自分の部屋を引き払い、結局同棲をはじめた。

 最近のふたりはまず家に帰って食事を終える。

 その後の寝るまでの時間は、昔の様に上司と部下に戻る。

「そうやって書いたらだめだと言ってるだろう」

「……はい、すみません」

「客観的に記事を読むんだ。常に俯瞰してみる」

「それは難しくないですか?」

「口ごたえするようになったな。さすが最優秀賞」

「すみませ……ふわああ……」

「今日はこれくらいにしよう」