敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「協力とかそういうことを言ってると、できないと話しただろう」

 高原が小言を言う。

 それを聞いた成美が高原に向かって、ち、ち、と指を振った。

「昔とは違います。私達、雪先輩のためならなんでもします。高原チーフの時とはちがうんですよ」

 高原の右眉が上がった。空気を読んだ海江田が成美を庇う。

「佐山チーフのために、僕が出来るだけ仕事を代わりますよ」

「海江田君、それでなくても君は仕事のしすぎです。本部長もう一人くらいうちへ人を入れて下さい」

 雪が大きな声を出した。

「もちろん、来年二人ここには入れるつもりだ。このチームはリーダーも含め伸び盛り。評判がいいからな」

 成美は今年の秋、初めてエコロジー賞なるものを受賞した。記者として雪と同様、飛躍の年になった。

「おい、雪」

「はい?」

「これからは仕事を二番目、いや、三番目にするんだ。式の準備が始まるとまた身体を壊しかねん」

「それが出来れば苦労はないです。誰よりわかっているのはチーフ自身でしょう?」

「いや、俺も役員だ。この際就業規則を大幅に改正する。ペナルティーも作ってホワイト企業にする」