敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「今思えばあの頃から雪にメロメロだった」

「メロメロとはよく言いますよね。あんなに仕事させて叱っていたのは誰でしたか?」

「そのお陰でこんなに立派になった。俺の予言は的中だ。雪を追い出した連中はざまあみろだ」

 引継ぎの際、私を拒否した会社が二社だけあった。

 彼の予言は的中した。私は今日の栄誉に輝いた。

 あの頃、引き合いに出されていた経済ジャーナルの佐藤記者は逮捕された。

 さすがのチーフもそこまでは予想していなかった。

 事件の時に、警察から彼の事情を聞いて驚いた。

 最近の彼の記事内容に虚偽があり、関係企業から訴えられていたそうだ。

 しかも書類送検され、経済ジャーナルをクビになりかけていたらしい。

 佐藤記者は私の貿易記事がすべての引き金だと供述したそうだ。

 それはどう考えても逆恨みだ。

 データに基づいて書いていたなら虚偽記載などありえない。

 記事は思いつきで書くな。調べろというチーフの教えは正しいのだ。

 * * *

「雪姉様、おめでとうございます!」

 会場の出口で奈美が花束を持って雪に向かって走ってきた。