敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「よろしい。さすが俺の弟子」

 本当に嬉しそう。こんな笑顔の彼を見ることが出来て、弟子としては感慨もひとしおだ。

 怒られてばかりだったあの頃の自分を褒めてあげたい。

 彼にトロフィーと副賞を預けた。

 トロフィーを見ながら懐かしいなどと言っている。

「それにしても、チーフが受賞したときはちっとも嬉しそうにしていなかったじゃないですか」

「そうだったか?雪が嬉し涙で顔がひどい状態になっていたのは記憶している」

 相変わらずの言い方だ。こちらを見てまたにやにやしている。

「そうですよ。海江田君に後から言われました。チーフは嬉しそうな私を見て喜んでたって」

「今日の俺は泣くほどじゃないが、喜んでいるぞ?これで満足か?」

「はい、満足です」

 高原は雪を抱き寄せた。最近人目を気にせずこういうことをするので、恥ずかしい。

 それにしても今日の彼もカッコいい。二度見したくなるほどだ。

 この会場で高原は有名人。雪より多くの人に話しかけられて、挨拶に忙しい。

 大学の仕事が終わり、今日はスーツ。

 彼のネクタイが曲がっているのに気づいて手直しをする。