敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です


 華やかなスポットライトが雪の上を照らした。

「今年の経済部門の最優秀賞は、佐山雪記者の『日本貿易の功罪』に決定いたしました。おめでとうございます。壇上へどうぞ」

 鳴り響く拍手の中、隣の人に挨拶をして、雪は立ち上がった。

 壇上にあがり、見覚えのあるトロフィー、副賞、そして花束を贈られた。

 雪はマイクの前で挨拶をした。

「この度はこのような栄誉ある賞をいただきまして、関係各位皆様に心より御礼を申し上げます……」

 * * *

「やったな、雪」

 式典が終わったころ、雪は会場の後ろでガッツポーズをして大喜びしている高原に気づいた。

 雪は嬉しかったが、見慣れない高原の姿に少し驚いた。

 彼は二年前に三度目の最優秀賞を受賞していた。

 その時もいつも通り淡々としていて、全く嬉しそうに見えなかった。

 この状況はまるで逆だ。

 あの時は雪が会場の後ろにいた。高原の受賞を聞いて、堪えきれずその場で嬉し泣きしてしまった。

 彼は涙でぐちゃぐちゃな雪の顔を見て、初めて嬉しそうに笑ったのを覚えている。

「師匠、最優秀賞です」