敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「ああ、もちろん。実は報告したいことがあって近いうちにそっちへ……」

「もしかして、結婚?」

 大きな声で叫んでいる。相変わらずだ。

「実はそうなんだ。それより奈美がどうした?会社経由の縁談は断ったぞ」

「そうなんだけど、あなた、佐山さんから何も聞いてないの?」

 まさか、嫌な予感がした。

「母さん、もしかして……」

「ほら、きちんと断った方がいいから、透には彼女が出来たって話したの」

 やっぱりそうか。佐山は会ったんだな。

「名刺を見せたから連絡したはずよ。それでいい人だったって言ってたの」

「なんだそれ……母さん、どうして事前に話さないんだ」

「だって、あなた事件もあったし、歩けなかったでしょう」

 そういう問題じゃない。全く母は奈美に似て、少しお嬢様気質の天然なんだ。

「それでね、諦めないって彼女に言ったらしいの」

「は?」

「結婚するならさすがに諦めるでしょう。奈美ちゃんも透のどこがそんなにいいのかしらね?」

「母さん!」

「私ならとっとと別な素敵な人と結婚してるわ。あなたのお父さんはそうやって……」

 また始まった。