敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 びくっとした高原は雪の顔を見てにやりと笑った。

 そして雪の手を握ると、ずんずん歩き出した。

 校舎の裏に入って壁に押し付ける。

「……あ、んう……」

 急にキスをしかけられた。

 生徒たちの話し声がして、身体を押した。

「だめでしょ、先生なんだから……」

「隠れてイチャイチャしてるのをたくさん見てきた。たまには俺もいい」

「何を言ってるんですか!」

「さてと、このあと雪を連れて行きたいところがある」

「どこですか?」

 * * *

 彼に連れてこられたのは、実家近くだという大きな高台にある公園。

 花モクレンの木が周りに植わっている。白と紫の色がそれぞれ咲いていた。

 ベンチに並んで座った。そこから街の様子が見えた。

「雪」

「なんですか?」

「以前、どうして医者にならず、記者になったのかと聞いたよな?」

「そうですね。え?教えてくれるんですか?」

 突然でびっくりした。

「俺は高校二年生の時、父に医者じゃなくて記者になりたいって、ここで宣言した」

「え?」

「冬でこの花も咲いてなかった。父は真面目な医者だったのに、大学病院で派閥に入らず左遷された」

「大変でしたね」