敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 見事な背負い投げだった。高原は倒れた男の腕を抑えてナイフを取った。

「俺は結構な数の修羅場を経験している。君も記者なら……あ、もしかしてもう終わりかな?」

「……っ!」

 気づくと、雪の隣で店員が警察に電話をしていた。

 あっという間に警察が来て、佐藤記者を縛り上げた。

 やっと店員が雪を外に出してくれた。

 泣きながら外に出た雪を見て、高原は大丈夫だと言いながら抱きしめた。

「現行犯逮捕したからまずこれで一安心だな。しかし、佐藤本人が攻撃してくるとは驚いた」

 高原の手から血が出ていた。

「血が出てる!どうしよう……」

「大丈夫だ、少しかすっただけだ。雪が無事でよかった」

 雪は高原の胸の中で大声を出して泣いた。

「ほら、人が見てるぞ。メーメー泣くな」

 狼は子羊を優しく抱きしめた。

 * * *

 その後、高原と一緒に事情聴取を受けた。

 喫茶店のマスターは高原をよく知る人だった。

 以前高原が追いかけまわされていた時にかくまってくれたそうだ。

「本当に無茶が過ぎます……私、息が止まるかと思いました……」